福谷博夫氏は69年度生の私の一年後輩にあたる。
剣道三段など類い希な運動神経と体力の持ち主で、同好会でも特に岩登りでその特徴が顕著だった。
休日になると、金比羅は勿論、六甲近郊の百丈岩、不動岩、妙号岩、御在所の藤内壁、香落渓の小太郎岩などにも共に足繁く通ったが彼が弱音を吐いたのを聞いたことがない。
穂高の滝谷や屏岩岩、剣岳の各岩峰群の登攀でも実に信頼できるパートナーで、何より冷静沈着かつ笑顔を忘れぬメンタルにこちらも随分助けられた思いがしたものだった。
OBになってからは、仕事にかまけてついなおざりになりがちな同好会の指導やクローバー山岳会の運営にも尽力してくれたのは特筆すべき事だし、又、個人的な山行でもつい最近まで岩登り専門シューズや最新の登攀用具を準備、駆使して各壁にチャレンジするなど、熱い気持ちを忘れない漢だった。
この福谷博夫が思いがけず逝ってしまった。
三年前に発症した食道への腫瘍が本当に憎い。
8/1、酷暑にうだる豊中の加納会館・本館で葬式が執り行われ、DCACからも急な連絡にも係わらず以下の会員が参列した。
眼を瞑った彼は相変わらずいつもの穏やかな笑顔を浮かべているようだったが、ただこの場に相応しい山の歌でお送りすることが出来なかったのか少し思いが残る。
参列者(敬称略):’63藤井、’66杉山、’69河村、’70下山、’71太田、’71日野(内原)、’73高橋、’73杉山、’75藤岡、’77山口(10名)
福谷博夫氏の逝去に寄せて
- 河村 徹
- 2024/08/05 (Mon) 20:02:52